ゲストご家族の体験談②

訪問看護師さんを通して、障がい児者とその家族の旅行を支援する「ほっとくらぶ」という団体があるという話を聞いていました。我が家の娘は人工呼吸器を装着しており、吸引や胃からの直接管で入れる食事もあり、父親は「障がいを持っているから旅行する時は病院に預けておかないとだめでしょ」と言っており、私も旅行なんかできるわけがないとあきらめているところがありました。

それでも2歳違いの兄もいて、この子と一緒に今のうちに色々見せてあげたい、体験させてあげたいと思っていて、家族みんなで一緒に旅行することは夢でした。そんな時に「ほっとくらぶ」の実際に行った活動の内容や説明を聞いてみて、夢から目標に変化していきました。

まず筑北村での家族一緒で温泉旅行に参加を決めて体験することができました。同じ部屋に皆で布団を並べて眠っている…障がい児にも温泉を体験させることができたと実感しました。それまで冷え性の娘は排尿の間隔があいており心配していましたが、温泉入浴後からは、どんどん排尿ができて手足も冷えることなくポカポカが3日目まで続きました。湯治とはよく言ったものだと思いました。

 

今まで家族で一緒にゆっくり外食ができることはなかったのですが、筑北村での食事は娘の居場所もあり、皆の手作りでバーベキューやら流しそうめんやらパン作りやらピザ作り、餅つきなどをし、美味しくて、楽しくて、久しぶりに大きな声で笑って食事ができました。

この企画に参加した日から父親は激変して、今までより一層介護も力を入れてくれるようになり、「ほっとくらぶ」のみんなで一緒に過ごすことができて、仲間意識や今まで出会ったことが無い人たちと話したり、作業したりして、頑張ろうと思えたようでした。

今まで太平洋に行ったことがない私たちは、湘南海岸に行く旅行なんて夢だとあきらめていました。そんなことはできる訳ないと思いながら、もし実現できたら一生忘れられないくらいの思い出になると思い、夢として話していました。ところが実現しようと皆さんで力を合わせてカンパを集めたり、バス会社と交渉してくださったりして夢を目標に変化させていきました。

11月の海の旅行企画には、娘は病院で留守番してもらって、兄と私たちが先に下見をしてイメージ作りをしてから、次の機会に実現できるように皆で一緒に旅行を楽しみ、そして普段できないボランティア側に回ったりしてみて大変充実した旅行になりました。兄にも「ほっとくらぶ」を通してお友だちができて、地域を超えた仲良しとしてこれからが楽しみです。兄は「またほっとくらぶの活動に参加したい」と親しみを込めて話してくれています。

いつもケアをされるばかりでしたが、今回は資金集めのボランティアとして、グッズ作りに協力し、自分達もメンバーとして参加しながら、旅行を楽しもうと家族で協力ができました。皆で協同作業する「ほっとくらぶ」の仲間として励みにもなっています。